『英語は親から子どもへのプレゼント』
本書は「ムリなくムダなく18歳でバイリンガルに」をモットーに、家でバイリンガル教育をスムーズに進めるための親の心構えや、長期目線での教育方針を教えてくれます。
幼児への英語教育の視点で読むと、ポイントは3つ
- 子供が気づいたときには英語が日常にある環境をつくる
- 幼児期はインプット重視、アウトプットの強要はNG!
- 幼児期はお金をかけず、留学まで資金を温存
この本を読んで感じたのは、親としては子供が直ぐにでも英語を話してくれることを望みますが、長い目線でじっくり構えることが重要、だということ。
親が焦ったり、プレッシャーをかけることは、子供の学びにポジティブに働かない上、親自身も長続きしません。
正直、この本に出合えて良かった!と心から思える一冊でした。
この本のおすすめ度 ★★★
この本をおすすめする人
- 子供にバイリンガル教育をはじめたばかりの人
- 子供が期待していたほど英語を話してくれないと感じている人
- 子供の成長とともにどんな学習ステップを踏めばいいか悩んでいる人
2人の子供をバイリンガルに育てた実績
著者は、子供の時に英語に興味を持ったことから、英語教育の道を究め、大学教授となった小田節子さん。
「バイリンガルは5歳までにつくられる」の著者、三幣真理さん同様、自分の子供もバイリンガルに育て上げた、実績のある教育法です。
「ムリなくムダなく18歳でバイリンガルに」がモットーで、ちびっこバイリンガルを育てるわけではなく、親が続けられて、子供も楽しく取り組み、18歳でバイリンガルを目指す、という長期戦の教育方法です。
幼児英語教育のポイント
本書では、0歳から、幼稚園から、小学校高学年から、中学生から、と発達段階に応じた教育方法が分かりやすく解説されています。
私の場合、3歳児への英語教育、という視点で読むとポイントは3つ。
1.子供が気づいたときには英語が日常に当たり前にある環境をつくる
子供に「新しいものを柔軟に受け入れる力」が十分備わっているうちに、英語に触れさせることが重要です。『英語は言語である』と分かってもらうのは、早いに越したことはありません。まずは英語への抵抗をなくす作戦です。
2.幼児期はインプット重視、アウトプットの強要はNG!
語学習得の成功に欠かせないのは、「質・量ともに十分なインプット」と「適切なアウトプットの機会」であるとした上で、幼児期はアウトプットを気にせず、たくさんインプットするべきだとしています。
むしろ、やってはいけないのは、
- 英語を覚えさせようとすること
- 英語をしゃべらせようとすること
無理強いすることは、楽しみながら学ぶ子供の意欲を削いでしまいます。
子供がアウトプットしないのは、インプットが足りていないから。
私を含め、バイリンガル教育に取り組む親が一番気をつけなければいけないところです。
3.幼児期はお金をかけず、留学まで資金を温存
世間には幼児向けの英語教材がたくさんありますが、これには否定的です。
それは、子供がハマるか分からない教材を一気に買うのは経済的にリスクがあるから。
一方で、子供が成長してからの短期留学は推奨しています。
実際に外国で英語を使ってコミュニケーションする、という体験をさせ、本人に英語の価値を実感させられたら大成功!
留学は、短期といえどお金がかかります。このため、幼児期にはあまりお金をかけず、留学まで資金を温存しておく、という長期目線での作戦です。
重要なのは子供を幸せにしたい、という想い
「おやこえいご」のゴールは、子供を幸せにすること。
親である我々は子供がバイリンガルになってくれることを望みつつも、子供とのコミュニケーションを第一にして、お互いに自分の気持ちを話し合える関係性を保つことが大切だと書かれています。
まとめ
本書では、0歳から高校生までの間に取り組むべき英語教育が発達段階ごとに具体的に解説されています。
乳幼児の時期が英語教育の黄金期、というのは他のバイリンガル教育本と同様ですが、「アウトプットを強要してはいけない」という点が強く主張されていて、一番胸に刺さるところです。
要点:親心も資金も長期計画で
- 子供が気づいたときには英語が日常に当たり前にある環境をつくる
- 幼児期はインプット重視、アウトプットの強要はNG!
- 幼児期はお金をかけず、留学まで資金を温存
学び:適切なタイミングで英語学習の機会を与え、その価値を体験させる
本書では、「英語は親から子どもへのプレゼント」として、物心つく前からの英語教育を勧めつつも、親子のコミュニケーションが一番重要と主張しています。
良好な親子関係が理想、というのは当たり前のことですが、おそらく著者が言いたいのは、子供に自我が芽生え、その自我が強くなるほどに、親から英語漬けにされていることを窮屈に感じてしまう、ということでしょう。
これを解消するためにも、日ごろから何でも話し合える親子関係を築いておき、反発に対して適切なタイミングで英語の可能性を伝える、そして、小学校高学年以降の多感な時期に留学させることで、身をもって英語の実用性を体験させる、という長期的で緻密な作戦が必要なのだと感じました。
バイリンガルは一日にしてならず。