家庭で一流の英語力を磨くには、「家庭円満が9割」
教え子3000人、家庭学習だけで娘をハーバード大学に進学させた驚愕の学習メソッドを持つ廣津留真理さんの著書「英語で一流を育てる」。
子供への英語教育で「一流」を掲げる本はAmazonでもほとんど見つかりません。
こんなにハードルが高いタイトルなのに、「家庭円満が9割」という矛盾するような結論。
しかし、本書を読み進めると、愛情こそが子供の可能性を何倍にも増幅させる起爆剤であることが数々の実例により明らかになります。
この本を「幼児への英語教育」という観点で読むとポイントは3つ
- 子供のことを本気で考えられるのは親だけ
- 親は子供を全肯定し自信を持たせてあげる
- 自然に子供のやる気を引き出すことが大切
これを読むと、英語教育ではなく、ただの子育て論のように感じますが、それもそのはず。
筆者は英語「を」教えるのではなく、英語「で」世界に通用する考え方や発信力を教えることが重要だと解説しています。
世界がより身近になるこれからの時代、子供たちが言語というハンデを負わず、自由に世界を楽しんでほしいと願うパパやママはぜひ一読することをオススメします。
この本のオススメ度★★★
この本をオススメする人
- 家庭での英語教育に興味のある人
- 子供のやる気を引き出す方法が知りたい人
- 世界的に優秀な大学に通う学生の家庭学習法を知りたい人
地方公立高校、塾通いナシ。からのハーバード!
著者はディリーゴ英語教室の代表を務める廣津留真理さん。
冒頭に書いたとおり、自身の娘を地方の公立小中高校から塾通いナシ、家庭教師ナシでアメリカのハーバード大学に入学させた教育実績があります。
ハーバード大学、名前は聞いたことあるけれどピンとこない人も多いのではないでしょうか。
ハーバード大学はオバマ前大統領やビルゲイツ、マークザッカーバーグをはじめ、数々の実業家、政治家、芸術家を輩出しているアメリカでも権威ある私立大学です。
2021年世界大学ランキングではTOP3に入り、世界中から超エリート達が集まることで知られています。
ちなみにランキング1位はオックスフォード大学、2位はスタンフォード大学、日本の東京大学は36位となっています。
そんな、世界の名門大学に入った娘への教育方針をひとことで言うと「本人の主体性を最大限に伸ばすこと」だそうです。
主体性が最大化された娘:廣津留すみれさん
著者の教育方針の前に、娘、廣津留すみれさんを紹介します。
廣津留すみれさんは、ハーバード大学を首席で卒業後、小さいころから習っていたバイオリンの道に進むべくジュリアード音楽院に進学し、現在はバイオリニストとして活躍されています。
ちなみに、ジュリアード音楽院は合格率6%、世界で最も優秀な音楽大学と言われています。
ハーバード、ジュリアード、そして、どちらも首席で卒業。
経歴からして才能にあふれる廣津留すみれさんですが、本人は「コツコツの積み重ね」「効率的に時間を使うこと」などが習慣化されていることが自身の最大の強みであると著書の中で語っています。
廣津留すみさんの著書
3冊とも読んで感じたことは、常に人と違うことを考え、自分の強みを活かし、自分のオリジナリティが発揮できるような環境を切り開いて行く、主体性が最大化された方であるということです。
正直、かなり自分に厳しい方だと思います。
例えば、締め切りギリギリまでタスクを後回しにして通常の2倍速で仕事をこなす、1日の目標を10分単位で細かく設定する、など、自分を追い込み、集中力を高めるメソッドが鬼のようです。
ですが、自分で考えて判断し、行動する習慣が身についているところに、母、廣津留真理さんの教育メソッドが流れていると感じます。
「ひろつるメソッド」
本の他にも著者の公式HPでは「ひろつるメソッド」という英語教育方法が紹介されています。
具体的には「勉強の習慣化」や「褒めて褒めて褒めまくる」といった方法が挙げられていますので、ぜひ公式HPでそのメソッドをチェックしてみてください。
書かれていることはとてもシンプルでわかりやすいのですが、日々の子供との生活(戦争?)の中では忘れてしまいそうな内容で、親にとっては身に染みます。
さて、本書を「幼児への英語教育」という観点で読むとポイントは3つ
1.子供のことを本気で考えられるのは親だけ
2020年から必修となった小学校での英語学習ですが、著者によると「日本のどこにも12歳以下の子供たちのための本格的な英語メソッドはない」といいます。
小学校の先生も英語を専門に教えていたわけではないのでノウハウが確立されていません。
このため、「子供が英語を話せるようになってほしい」という親の想いを学校に期待するのは荷が重いということです。
結局のところ、子供の将来を本気で考え行動できるのは親だけ。
学校がダメなら、習い事で、という選択肢もありますが、著者のメソッドは家庭での学習。
一流の英語力は家族みんなで習得するのが最善の策
『英語は話せないし、子供に英語を教えるのなんてムリ』と思う親は多いと思いますが、著者によると、親は英語を教えずサポートするのが「ひろつるメソッド」の肝。
子供のモチベーションを上げ、維持するのが親の役割というわけです。
そして、そのモチベ維持のコツが次の2つ。
2.親は子供を全肯定し自信を持たせてあげる
「ひろつるメソッド」の根底に流れる基本方針は「愛情」です。
子どもには毎日毎秒120%の愛情をもって接する
英語学習なのに愛情!?
違和感を感じたかもしれませんが、子供がのびのびと学べる環境をつくるためには、子供が安心して自分のやりたいことに挑戦できる心理状態=自信を持たせてあげることが重要です。
親が愛情を持って肯定してあげることは子供の自信につながります。
肯定とはつまり、褒めること。
特に男の子は褒められるとやる気を出して伸びるそうです。
3.自然に子供のやる気を引き出すことが大切
子供が好きなことをしているとき、「やめなさい」と言っても、もちろん素直にはやめません。
育児あるあるですが、もし子供が熱中しているのが英語学習ならば親の声のトーンは変わります。
自立した学習とは子供が勝手にやる気スイッチを押すこと
親の役割は、子供が好きなことや自分にしかできないことを見つけるサポートをしてあげることだといいます。
具体的には、
- 続けられる環境をつくること
- 会話をする環境をつくること
「続けられる環境」とは、親自身が英語学習を楽しみ、子供にも楽しいことだと確信させることです。
たとえば、日常生活の中で1日5分でも子供の隣にすわって一緒に英語を音読する習慣をつくることで親も子供も学習が定着します。
また、「会話する環境」とは、英会話というわけではなく、日本語でいいから、何気ない会話の中で子供自身に考えさせること、自分で表現することを習慣づけると、効果的に主体性が身につけられるといいます。
こんなふうに親子で遊びながら英語が学べたら理想的ですね。
具体的なノウハウは本書で
ここまで著者の英語メソッドの考え方について抽出して解説しました。
抽象的でわかりにくかったかもしれませんが、むしろ家庭で英語学習をすることの大事な部分です。
具体的な英語教育の方法については、本書の中に記載されています。
たとえば、単語暗記法の極意は五感を使うこと、文法は後回しにしてまずは丸暗記、など、中学・高校から英語を勉強してきた私にとっては目からウロコの学習方法でした。
ぜひ図書館や本屋さんで読んでみてください。
まとめ
本書では、子供への英語教育について、英語「を」学ぶのではなく、英語「で」学ぶことを軸に、世界に通用する物事の考え方や発信力の鍛え方が解説されています。
英語が話せることで世界が広がるのは間違いないですが、広がった世界で何がしたいのか。
「英語」のその先を見据えた教育が必要、ということを教えてくれる家庭教育のバイブルと言っていいでしょう。
「教育は習い事や学校でOK!」ではなく、子供の将来を真剣に考えられる親だからこそ、家庭の中で子供の可能性を伸ばすことができます。
その著者のメソッドに信ぴょう性があるのは、主体性が最大化されている娘、すみれさんにあります。
親子英語に関する教本では、親からの目線だけでなく、子供の目線も大切。
すみれさんの著書からは、親の教育方針の良いところを吸収し、自分で考える力が育ち、世界を楽しんでいることがうかがえます。
親はあくまでサポーター。
一見簡単そうな役目に思えますが、実は、しっかり情報収集して子供にいろいろな機会を与え、長期にわたって支え続ける根気強さが必要です。
この本を読むと、子供に期待するだけでなく、親も自身をアップデートする必要がある、子育ては自身のマネージメント能力も試されるハードワークだということを痛感しました。
加えて、子供が大きくなっても話し合える関係性を築いておくためには、やはり家族円満が大切なんですね。